クリーンライフ協会、および日本クリーニング環境保全センター(ともに代表は全ク連・小池広昭会長)は、5月16日(水)に平成30年度総会を全国クリーニング会館で開催しました。
両団体は、クリーニングに関連する団体や企業が参画し、業界に係る課題解決に取り組むことを目的として組織されています。
開会の挨拶で、小池会長は中止となったCLVクリーニングフェストOSAKA 2018のお詫びと2月に開催したCLV21スペシャルセミナーセッションin大阪の報告および御礼を述べるとともに、11月29日(木)~12月1日(土)に予定するCLV21-2018東京国際クリーニング総合展示会の開催を明言し、参加および協力を呼びかけました。
加えて、人手不足や環境問題、衣類の組成の複雑化といった課題が多くある中、利用者の利便性やニーズを訴求することが業界を好転させる突破口の1つと考えられることから、クリーンライフ協会や日本クリーニング環境保全センターが業界関係者の交流の場となることで、クリーニング業界の未来を拓くきっかけにしたいと述べました。
続いて厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生課の竹林経治課長が挨拶に立ち、今年度同省が取り組む生活衛生業の生産性向上事業に対してクリーニング業界関係者の協力を仰ぐとともに、クリーニング業界が団結して各種課題の対応や業界の発展に努めることに対して期待の言葉を述べました。
記念講演は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 神奈川支部 関東職業能力開発促進センターの小林信次長が、「クリーニング業における生産性向上対策について」をテーマに政府が推進している働き方改革の概要やクリーニング業界が取り組むべき対応などを説明しました。
働き方改革は正規雇用労働者と非正規雇用労働者との待遇の格差を改善することや長期間労働の是正、女性・若者が活躍しやすい環境整備等を目指しており、関連法案が国会で審議されています。
クリーニング業界で働き方改革を実現するためには、前提として従業員の技能向上や店舗への省力設備の導入などで生産性を向上させるとともに、労働環境の整備や就業規則・賃金規程などを見直して従業員が働きやすい環境を整備することが必要です。
その上で、具体的にはまず正社員と非正規社員の間における基本給および賞与、交通費などの各種手当、福利厚生といった待遇の格差を確認することを挙げました。もし正社員と非正規社員との待遇に差を設ける場合には、その差についての合理的な理由が必要となり、そうでない場合には正社員と同じ待遇としなければならないことから、特に正社員と職務内容等が極めて近い非正規社員については待遇の差が不合理である可能性が高いので、早期に改善を行う必要性があることを述べました。
また、将来的には正社員と非正社員の給与体系を接続することなど、待遇の更なる均等を目指していくことが求められると説明しました。
なお、各都道府県にある働き方改革推進支援センターの相談窓口や小林氏の所属する高齢・障害・求職者雇用支援機構の生産性向上支援訓練などを上手に活用することも、これら労働環境の整備・改善の一助となることを紹介しました。
総会では両団体とも提出した全議案が慎重審議の上可決され、平成30年度事業が本格的に始動しました。今年度はクリーニングの需要拡大に係る検討や人材確保対策などを中心に事業を進めていきます。また、任期満了に伴う役員改選が行われ、両団体とも小池氏が再任しました。平成30年度事業計画の概要は以下の通りとなります。
クリーンライフ協会 第35回定例総会
平成30年度は、クリーニング需要の減少や人手不足などの業界の課題を鑑み、需要拡大や雇用環境等について検討する各種委員会を設置します。
具体的には
- 除菌消臭剤やクリーニングに関する正しい知識の啓発などを目的とした需要拡大検討委員会を設ける「需要拡大/消費者啓発(PR)/事故防止対策事業」に取り組む。
- 長期間放置品解消に向けた取組みの推進や、雇用環境改善、人材確保・人材育成策に対する雇用環境改善検討委員会を設ける「業界環境/経営環境改善対策事業」
- CLV21-2018東京国際クリーニング総合展示会や第10回全国クリーニング大会in川越等への協賛、協力を行う「業界活性化推進事業」
日本クリーニング環境保全センター 第47回通常総会
平成30年度は、前年度に引き続きテトラクロロエチレン溶剤を使用するクリーニング施設の土壌汚染対策に係る周知・啓発を行う「土壌汚染対策の啓発活動」を推進します。
また、使用済み石油系溶剤カートリッジ等の「廃棄物対策」、テトラクロロエチレンとソルカン等の地下水汚染防止対策や、テトラクロロエチレンを扱う事業所における労働衛生管理、大気汚染防止法に伴うVOC排出抑制などの啓発を行う「環境保全対策の普及・啓発活動」をはじめとする各種事業を行います。