前回、静電気を起こさないためには放電することが重要と紹介しました。
では、静電気を放電させるに裏地はどういう働きをするのでしょうか?
今回は、裏地に使用される素材(繊維)の特徴に注目してみましょう。
・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・
裏地の素材として市場に多く出回っているのはポリエステル。
そして高価なジャケットやコートに使用されている裏地としてキュプラが有名ですね。
その他には綿や綿とポリエステルの混紡など様々ですね。他にはナイロンなどあるかな・・・。
繊維はそれぞれ繊維内に水分を含んでいてその量は異なっています。
温度20℃、湿度65%の一定環境下で繊維内に含まれている水分の割合を公定水分率と言います。この繊維の公定水分率に注目してみましょう。
参照:繊維製品品質表示規程 | 消費者庁 (caa.go.jp)※別表第三(第二条関係)
ポリエステル | : | 0.4% |
ナイロン | : | 4.5% |
綿 | : | 8.5% |
レーヨン | : | 11.0% |
キュプラ | : | 11.0% |
絹 | : | 12.0% |
ポリエステルが最も水分率が低く、ほぼほぼ乾燥しているような状況です。
つまり繊維同士の擦れにおいて静電気が起きやすいことが伺えます。
ですが、ポリエステルは細くて軽く、しかも強度があり、濡れても乾きがはやい性質を持っていて裏地としては非常に最適なのです。
一方、キュプラは11.0%もあるので水分を保持することで静電気が放電しやすくなります。
つまり静電気が起きにくい特徴があると言えます。高級たる所以のひとつですね。
しかし、空気中の水分が乾燥しすぎると繊維の水分量も減ってしまいますので全く静電気が起きないという訳ではないですね。
製品の企画や仕様において裏地は様々ですが繊維の特徴に注目して頂けると良いかもしれません。
放電についての掲載はこちら→裏地について「素材」