暑い日が続き、夏も目前に迫り、店頭には軽い素材の製品が多く並ぶようになりました。透けるような素材もあり、中には袖が透ける素材と編地の二重構造になっているニットなどデザインもいろいろあります。今回は、力が加わったり、突起物との接触に注意が必要な薄くて透けるような「デリケート素材」について取り上げます。
オーガンジー、シフォン、レースなどは、取り扱いに注意が必要な素材です。
このような素材の場合、着用や洗濯で問題となってくるのが製品の縫い目の滑脱や生地の目寄れです。滑脱とは、縫い目に力が加わると縫い目が開いたり縫い代が抜けてしまう現象で、目寄れとは、生地がこすられたり強く引っ張られたりすると生地のタテ糸とヨコ糸が滑ってずれ、織りが開いたり詰まったりする現象です。
滑脱や目寄れが発生しやすい素材には、薄地で表面がなめらか、粗い密度、ソフトな風合いなどの特徴があります。また発生しやすい部位では、脇縫いや尻縫いなど着用時や洗濯時に外力が加わりやすい箇所、アームホールなどカーブの強い箇所、ダーツやギャザーなど縫いにくい箇所、袖口剣ボロやヨーク付けなど縫い代が浅くなりがちな箇所などが発生しやすい部分です。
アパレルには販売時にデリケートな素材を使用していることを店頭で伝えたり、着用・洗濯時の注意を記載したアテンションタグを付けることが望まれます。クリーニング受付時には、着用により縫い目が滑脱している場合もありますので、上記のような生地や製品の部位に注意してチェックすることをお勧めします。クリーニングの際に強い力が加わらないようにクリーニングネットに入れることも事故防止に効果があります。