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ウール起毛製品の風合い変化

事故内容

前身頃

後身頃

品名

コート

状態

クリーニング後に風合いが変化した。

素材

表地 毛100%(起毛加工生地)
裏地 レーヨン100%

取扱い表示

処理方法

石油系溶剤によるドライクリーニング、タンブル乾燥

製品特徴と原因

お申し出品のコートを観察すると、毛並みの乱れや毛玉の発生はなく、表面の変化は少ないと感じられる。コート全体の触感も織物として特に不自然には感じられない。風合い変化については購入者によって感じ方が異なるため、どこまでの変化が許容されるものかは判断が困難であるが、ウールの起毛加工製品の場合、価格も高価なものが多く販売時並びにクリーニング受付時に丁寧な説明を行うことが重要である。
着用やクリーニングによる多少の変化はやむを得ない。
起毛加工生地は、着用中の摩擦や揉み作用、水分や汚れの付着により、表面の毛並みの状態が変化しやすい。毛羽が倒れたり、起き上がったり、絡み合ったり、脱落することによって風合いが変化する。
ドライクリーニング溶剤は脱脂力があるため、素材特有の油分が取れて風合いが変化する。
ウールの起毛製品は、水処理ができないため、ドライクリーニングを行うのが一般的。ただし、ドライクリーニング洗浄中の叩き作用や揉み作用、溶剤の脱脂作用、仕上げ時の蒸気やプレスの押さえ作用などによって毛並みや織組織が変化することで風合いが変化する。

防止方法

アパレル

  • 起毛加工製品は着用やクリーニングにより、表面の変化(毛並みの乱れ、毛玉の発生、毛羽の絡み合い、毛羽抜けなど)、風合い変化(全体的な生地の硬化または柔軟性変化、織物組織変化による型崩れ、蒸気仕上げによる毛羽の起き上がりなど)が発生しやすいことを、消費者に伝えて販売する。また取扱い注意事項などを縫い付けタグなどで付記することが望ましい。

消費者

  • 着用やクリーニングにより、起毛製品は他の織物に比べて徐々に風合いが変化することを理解する。
  • 連日着用することは避け、着用後にはブラッシングを行い、毛並みを整えて毛羽の絡まりなどを除去する。

クリーニング

  • 受付時に起毛製品の特徴を説明し、風合い変化が発生しやすいことを伝える。
  • クリーニングの際は、製品を裏返しネットに入れて洗浄する。
  • ドライソープは柔軟効果のあるものを使用し、風合い変化を少なくするようにする。
  • 洗浄・乾燥時、摩擦や揉み作用を少なくするよう工夫する。
  • 仕上げは蒸気量を少なくする、毛並みを整え、寝かせるように軽くプレスする。

事故防止対策部会の考え方

  • ウールの起毛加工品は表面の独特な艶や色合い、また手触りの良さが魅力的なものである。しかし、着用やクリーニングの繰り返しで徐々に変化し、購入時の特徴をいつまでも維持することは難しい。
  • お客様には、変化が生じることを理解して購入してもらい、日ごろのお手入れにも留意してもらう。

 

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