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シームレスダウンの接着部の剥離

事故部(後身頃)

 

正常な接着部

事故内容

品名

ダウンジャケット

状態

クリーニング後、接着部が一部剥がれていた。

素材

表 地:ナイロン100%
裏 地:ポリエステル100%
詰め物:ダウン80% フェザー20%

取扱い表示

処理方法

 

ウエットクリーニング、タンブル乾燥、スチーム仕上

製品特徴と原因

本製品は表面のステッチ部分に圧着加工を施したシームレス製品で、後身頃中程の右寄り部や袖の一部などの接着が剥がれている。接着部を引っ張ると、正常部(裾)付近は問題ないが、事故部は簡単に剥がれて事故部が拡大する。
圧着の技法は複数あると思われるが、いずれも、圧着部には樹脂を使用している可能性が高い。また、樹脂は繊維素材よりも劣化しやすいうえ、汚れの付着や高湿度環境にあること、紫外線にあたることなどにより劣化が促進する。
以上より、接着部の剥離は、主に樹脂の劣化により生じたものと推察する。

防止方法

アパレル

  • シームレス製品の接着は、永久的ではないことを縫い付けラベル等に表示する。さらに、耐用期間の目安を示すのが望ましい。
  • 製造年度を調べられる記号を縫い付けラベルや下げ札に表示する。
  • 「商品特性」「経時劣化特性」について、販売員への情報提供と教育を行い、販売時に消費者へ情報提供する。

消費者

  • 接着剤縫製品の特性(メリットは軽い・温かいなど、デメリットは劣化特性)を理解して、購入・着用する。
  • 強く引っ張ったり、繰り返し擦ったりすることも剥離の原因となるため注意する(毎日の着用は避ける)。
  • 着用後は十分に乾燥させ、湿気がこもらないよう保管する。

クリーニング

  • 接着樹脂は経時劣化することを、日常的に消費者に情報提供する。
  • 受付時に、圧着部の状態を確認する。
  • 受付時に、圧着部が剥がれる可能性を説明し、了承を得てからクリーニングする。
  • ダウンウエアの洗浄後の乾燥方法は、水やドライクリーニング溶剤を揮発させることとかさ高性回復の目的で、タンブル使用が必須である。ただし、取扱表示と異なる処理を行う場合は、これを行う必要性やデメリットとお客様にお知らせし、了承を得てから行うのが望ましい。

事故防止対策部会の考え方

  • 同一パーツ内の圧着強度に大きな違いがある場合、樹脂が部分的に劣化(接着強度低下)している可能性が高い。
  • ダメージ(剥がれ)はクリーニング時に発生しやすいが、劣化による現象なのであれば、取扱い方法が不適切であったのではないことを、消費者は理解する必要がある。
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